「うちの子は運動が苦手だから…」とあきらめていませんか。じつは“合う環境”に出会えるかどうかで、その後は大きく変わります。続けられるクラブの見分け方をまとめました。
「できる・できない」より「楽しい」を入り口に
運動が苦手と感じる子の多くは、能力よりも「うまくできなかった経験」で苦手意識を持っています。だからこそ、最初は勝ち負けや上達よりも「楽しい」を入り口にできるクラブが向いています。
続くクラブを見分ける4つのサイン
- 初心者やゆっくりな子へのフォローが丁寧
- できたことを具体的にほめてくれる
- レベル別・少人数など、一人ひとりに目が届く
- 体験で子ども自身が「また来たい」と言う
個人競技という選択肢も
チームの中だと埋もれてしまう子も、水泳・体操・陸上などの個人競技なら「自分のペース」で伸びやすいことがあります。チビスポでは雰囲気や種目から幅広く探せるので、固定観念にとらわれず比べてみてください。
家庭でできる「苦手意識」のほぐし方
クラブ選びと同じくらい大切なのが、家庭での声かけです。「できた・できない」をジャッジするより、「やってみたこと」そのものを認めてあげると、子どもは少しずつ挑戦に前向きになります。比べる相手は、ほかの子ではなく昨日の本人です。
焦らなくて大丈夫
運動が好きになる時期は子どもによってさまざま。今ピンとこなくても、数年後に夢中になることはよくあります。いろいろな種目を気軽に試せる環境を用意してあげることが、いちばんの近道です。
「苦手」の正体を分けて考える
ひとくちに「運動が苦手」と言っても、理由はさまざまです。体の使い方がまだ未発達なだけの子、過去の失敗で自信をなくしている子、そもそも競争が好きでない子──。原因によって、合う環境はまったく変わります。まずは「何が苦手なのか」を、責めずに観察してみることが第一歩です。
競争が少ない種目という選択
勝ち負けがプレッシャーになる子には、記録や級で自分の成長を測れる個人競技(水泳・体操・武道など)が向いていることがあります。「人と比べる」のではなく「昨日の自分と比べる」スタイルなら、苦手意識を持たずに続けやすくなります。
“スモールステップ”で自信を積む
いきなり大きな目標を立てると、できない自分にばかり意識が向いてしまいます。「今日は1回できればOK」くらいの小さな目標に分けると、達成感を積み重ねやすくなります。良い指導者は、この“スモールステップ”の作り方が上手です。体験のときに、子どものレベルに合わせた声かけをしてくれるかを見てみましょう。
理学療法士の視点:「できる感覚」が継続を決める
スポーツ心理学では、「自分は運動がそこそこできる」という感覚(運動有能感)が、その後も運動を続けるかどうかを大きく左右することが知られています。ポイントは、実際の上手さそのものより「本人がどう感じているか」。つまり、周りと比べて劣っていても、「前より跳べた」「昨日より泳げた」を実感できる環境にいれば、有能感は育ちます。クラブ選びで「本人比の成長を見てくれる指導者かどうか」を重視すべき理由が、ここにあります。
極端な不器用さが続くときは、相談も選択肢に
発達には大きな個人差があり、多くの「苦手」は経験と環境で変わっていきます。一方で、年齢相応の動作(ボールを受ける、ボタンをかける、自転車に乗るなど)の困難さが長く続き、生活にも影響している場合は、発達性協調運動症(DCD)と呼ばれる発達の特性が関係していることもあります。これは「怠け」でも「練習不足」でもありません。気になる場合は、小児科や地域の発達相談、理学療法士・作業療法士に相談すると、その子に合った体の使い方の練習を提案してもらえます。早く「合う方法」に出会うことが、自信を守るいちばんの近道です。
- 文部科学省「幼児期運動指針」(2012)
- DSM-5(米国精神医学会)発達性協調運動症の診断基準
- スポーツ心理学における運動有能感(perceived competence)研究の一般的知見