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6歳までの運動が、脳を育てる。幼児期に大切にしたい「多様な動き」

2026.06.20
はじめてのスポーツ選び - 6歳までの運動が脳を育てる。幼児期に大切にしたい多様な動きを紹介したイラスト

「何かスポーツをさせたいけれど、まだ早い?」と迷う保護者は少なくありません。じつは幼児期は、特定の競技を始めるよりも“多様な動き”を経験することが、その後の運動能力の土台になります。理学療法士の視点から、家庭でもできる関わり方を紹介します。

神経系は6歳までに約9割が発達する──スキャモンの発育曲線

発達の分野で古くから使われる「スキャモンの発育発達曲線」では、体の各器官の発達を4つの系統に分けて示します。このうち、脳や神経のネットワークにあたる「神経型」は最も早く発達し、5〜6歳ごろには成人の約8〜9割に達するとされています。身長や筋肉(一般型)が思春期に伸びるのとは、まったく別のカーブを描くのです。

理学療法士の視点で言い換えると、幼児期は「筋力をつける時期」ではなく「体の動かし方の回路をつくる時期」。この時期にいろいろな動きを経験しておくと、体を思い通りに動かす“器用さ”(協調性・巧緻性)の土台ができます。走る・跳ぶ・投げる・転がる・バランスをとる…といった幅広い動きを楽しむほうが、ひとつの競技に早くから絞り込むより、長い目で見て伸びやすいと考えられています。

「早くから1つに絞る」は逆効果になりうる

米国小児科学会(AAP)は、単一競技への早期特化(early specialization)について、オーバーユース(使いすぎ)によるけがや燃え尽きのリスクを高める可能性を指摘し、思春期ごろまでは複数のスポーツ・多様な運動を経験することを推奨しています。「早く始めた子が勝つ」のではなく、「多様に動いた子が最終的に伸びる」──これが現在の小児スポーツ医学の標準的な考え方です。

ポイント
幼児期は「うまくなること」より「いろいろな動きに出会うこと」。遊びの延長で十分です。

家庭でできる「多様な動き」遊び

「やらせる」より「一緒に楽しむ」

この時期にいちばん大切なのは、体を動かすことが「楽しい」と感じられること。うまくできたかどうかより、挑戦したこと・楽しめたことをそのまま認めてあげましょう。「楽しい」という記憶が、その後スポーツを続ける一番の原動力になります。

そのうえで「もっとやりたい」が見えてきたら、地域のクラブの体験に行ってみるのがおすすめです。

「運動神経がいい」は生まれつきではない

「運動神経がいい・悪い」は才能の問題と思われがちですが、実際には“どれだけ多様な動きを経験したか”の影響が大きいと言われます。たくさんの動きに出会った子ほど、新しいスポーツにも順応しやすくなるのです。だからこそ幼児期は、特定の競技より「動きの引き出し」を増やすことが、将来の大きな財産になります。

習い事として始めるなら

「そろそろ何か習わせたい」と感じたら、入口として人気なのは、多様な動きを扱うマルチスポーツや体操、水泳など。いずれも特定の動作に偏りにくく、運動の土台づくりに向いています。まずはお子さまが興味を示したものから、体験で気軽に試してみましょう。

「ゴールデンエイジ」は突然来るわけではない

運動能力が伸びやすい時期として「ゴールデンエイジ(9〜12歳ごろ)」がよく知られています。見た動きをすぐ自分のものにできる、いわば“即座の習得”が起こりやすい時期です。ただし、この力は突然備わるわけではありません。それ以前の幼児期(プレ・ゴールデンエイジ)に、どれだけ多様な動きを経験したかが、その土台になります。

つまり、幼児期に特別な英才教育は必要ありませんが、「いろいろな体の使い方に出会っておく」ことが、のちの伸びしろを大きく左右するのです。

幼児期によくある3つの誤解

1日の運動量の目安は?

文部科学省の「幼児期運動指針」では、幼児は毎日合計60分以上、楽しく体を動かすことが望ましいとされています。世界保健機関(WHO)も同様に、子どもが毎日60分程度体を動かすことをすすめています。とはいえ、まとまった運動である必要はありません。公園遊び、外の散歩、家の中での体遊びなど、こま切れの合計で十分です。「運動」と構えず、生活の中で体を動かす時間を少しずつ増やすイメージで大丈夫です。

年齢別・この時期に楽しみたい動き

発達には個人差が大きいので、あくまで「目安」として眺めてください。できる・できないを気にするより、「今この動きが楽しい時期なんだ」と知っておくと、遊びの選び方が変わります。

クラブの体験に行くなら、ここを見る

「そろそろ習い事を」と体験に行くときは、技術指導のうまさよりも、幼児期の特性に合った環境かどうかを見るのがおすすめです。

よくある質問

Q. 何歳から習い事を始めるのがベストですか?
A. 「何歳から」より「本人が楽しめるか」が基準です。3〜4歳から受け入れるクラブは多くありますが、遅く始めたから不利になる時期ではありません。焦る必要はまったくありません。

Q. 外遊びだけでは足りませんか?
A. 幼児期に関しては、多様な外遊びが十分に確保できていれば大丈夫です。クラブの良さは「動きの種類が計画的に増えること」と「友だち・コーチとの関わり」。外遊びの延長として考えてください。

Q. うちの子は運動が苦手そうです。無理にやらせるべき?
A. 無理にやらせるのは逆効果です。まずは本人が「できそう」と思える遊びから。苦手意識が強い場合は、競争のない体操教室や水泳など、自分のペースで進める種目が入口として向いています。

まとめ
幼児期に大切なのは、上達でも記録でもなく「体を動かすって楽しい」という記憶を残すこと。多様な動きを、遊びの中で、一緒に楽しむ。その積み重ねが、これから出会うどんなスポーツの土台にもなります。
参考にした指針・提言
チビスポ編集部
理学療法士の監修のもと、現場とエビデンスの両面から発信しています。

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